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Sony FX30|Cinemaをここに。

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]

フルサイズからAPS-Cへ

筆者は先日、SONYのベーシック機である人気機種「SONY α7IV」から、映像特化のCinema Lineとして登場した「SONY FX30」に乗り換えました。

今回は似ているようで全く違うラインナップから発売されている2つのカメラを比べつつ、FX30中心にレビューしていきたいと思います。

結論から言うと、「FX30は万能機ではない。だからこそ良い。」となりました。

レビュー

前提としてFX30はAPS-Cセンサーを搭載したカメラ、SONY α7IVはフルサイズセンサーを搭載したカメラです。

APS-Cセンサーはレンズの焦点距離が1.5倍になるという特性を持っています。

そのため、広角に弱く望遠に強いと一般的には言われています。

が、映画業界などで使用されるカメラの大半は、APS-Cセンサーを搭載したカメラだと言われているので、どちらが良いというのは結論が出せません。

以上のことを前提としてレビューしていきます。

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]
FX30

(以下 APS-CセンサーをAPS-C、フルサイズセンサーをフルサイズと呼ぶ)

レンズ選びが難しい

レンズ|選択肢問題

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]
SONY FX30とTamron 11-20mm F/2.8 Di III-A RXD

α7IVから乗り換えてまず考えなければいけないこと、それはレンズでしょう。

前述の通りFX30はAPS-Cのカメラです。

APS-Cの難しいところ。

それはレンズ選びだと思います。

前述の通りAPS-Cでは焦点距離が1.5倍になります。

そのため広角のレンズを使いたい時にレンズ選びに苦戦します…

というか苦戦しました笑

フルサイズでは24mmレンズは24mmとして使用できますが、APS-Cだと36mmのレンズになってしまいます。

フルサイズでは広角レンズでもAPS-Cでは標準レンズになってしまうわけです。

筆者は元々Tamron 28-75mm F2.8 G2を使用していたため、28mmスタートのレンズは所有していました。

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]
Tamron 28-75mm F2.8 G2を装着した様子

そういうことです。

このレンズを使用すると42mmスタートのレンズになってしまうわけです。

20mmの単焦点も所有していますが、これでも30mm。

これでは広角域のレンズが圧倒的に足りない。

足りないどころか撮影できない。

ジンバルなどに載せて運用する場合には24mm域を使いたいところですよね。

ここで広角レンズを導入することを検討し始めましたが…広角レンズはあまりラインナップがないのです。

そう、APS-C用の広角レンズが全然ないのです。

ここで候補に上がったのが「SONY純正PZ10-20mm F4」と「Tamron 11-20mm F2.8」でした。

金額的に手の届く範囲で、ズームリングの向きを揃えるとこの2本のレンズが候補になりました。

明るさからTamronのレンズを購入し、現在に至るわけです。

レンズ|フルサイズカメラとの共存

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]

筆者はSONY α7IIIを現在も写真用として所有しているため、できればレンズは共用したいところ。

ですが、フルサイズ用の広角レンズと言えば16-35mmとなります。

そのためAPS-Cに取り付けると24mm。

ギリギリ広角が足りないような気がする…といったところでしょうか。

このようにレンズ選びはとても難しいと感じました。

このTamronのレンズを導入することでフルサイズ換算「16.5〜30mm」をカバーし、Tamron 28-75mm F2.8 G2と組み合わせることで、「16.5〜30mm」「42〜112.5mm」をカバーできました。

はい、お気づきでしょうか。

映像で多用する重要な焦点距離、35mmをカバーできていないことに。

あぁ……


と言っても全てのカメラをAPS-Cで統一している方や、FX30しか使用しない方にとっては特に問題ではないと思います。

もちろんSONY純正だけで揃えたい人には少し厳しいかもしれませんが…

動画性能

動画性能に関してはα7IVと大きな違いはないかと思います。

どちらも10bitで撮影できますし、もちろん4Kが撮影できます。

性能に対してその他詳しい内容は、他の方がまとめておられるためそちらをご覧ください。

動画撮影の操作性はとても良い

操作性|筐体とマルチセレクター

α7IVから乗り換えて大きく変わる点は筐体・操作性だと思います。

操作性に関しては大きな問題点はないと感じます。

なにより定評を得ているFX3(フルサイズを搭載した上位機種)と同じ筐体を採用しているので問題はないでしょう。

ですが個人的に思う欠点が1つ。

上部にあるマルチセレクターの位置的にとても押しづらく選択しずらいと感じます。

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]
RECボタンの右に位置するマルチセレクター
マルチセレクタの位置的に操作しずらいと感じる。

α7IVなどではマルチセレクターが背面(撮影者側)にあるので親指で操作しやすいです。

α7シリーズでは全てのカメラが背面にマルチセレクターを搭載しているように思います。

操作性|タリーランプ

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]

またREC中にはタリーランプが点灯するので、逆RECが防げます。

※REC→録画

※タリーランプ→REC中に点灯する赤いライト

※逆REC→RECと待機状態を間違えてしまうこと

ノイズは相当出る

ノイズ|良いノイズ

ノイズは相当出ます。

α7IVと比べて確実にノイズが発生した映像になることは確かです。

と言ってもそれが全てダメなノイズというわけではない、そう思います。

実際の映画も、しっかり見てみるとノイズがほぼ確実に出ています。

ですが、それが映画の雰囲気を作る1つの要因といって良いと思います。

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]
実際に撮影した映像のキャプチャー

あくまでこのカメラはCinema Line。

Cinema Lineだからこそ、ノイズをうまく処理して出しているのがSONYだと思います。

もちろんノイズが出ると困るといった場面があることも確かです。

例えば女性のポートレートムービーなどではノイズが邪魔になってしまう恐れがあります。

そのような用途が多い方や、とにかく綺麗な映像を撮影したいという方はα7IVの方が良いと思います。

もちろんα7IVに限りません。

ノイズ|高感度耐性(ISO)

FX30にはデュアルベースISOがあり、ISO800とISO2500がその値になります。

(α7IVにデュアルベースISOがあるのか確認できませんでした)

このベースISO設定時が一番綺麗に撮影できるという状態になります。

2つの基準ISO感度(ISO800とISO2500)に切り換えできるデュアル・ベースISOに対応。ISO800とISO2500のノイズレベルがほぼ同等で、撮影環境の明るさに合わせて基準ISO感度を使い分けることで、ノイズを抑えたクリアな映像撮影が可能です。
[引用 SONY HP]

このベースISO設定時にも前述の通り、ノイズは出ます。

また個人の感覚的にはISO6400までが許容範囲かな…と思います。

α7IVではISO6400までは比較的余裕な雰囲気だったので、その点センサーサイズの違いはあるのかなと思います。

実際にFX30で撮影した映像からノイズを確認できます↓

ファン搭載は効果あり

α7IVにはファンが搭載されていません。

ファンとは冷却用のファンですが、FX30には冷却用のファンが搭載されています。

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]
ファンが搭載されている(排気口が確認できる)

これによりα7IVで発生していた熱問題をほぼ全く感じません。

本体・モニター背面が熱くなることも少ないと感じます。

ファンの効果は絶大と言えるでしょう。

もちろんAPS-Cサイズのセンサーは発熱が少ないと言うこともあると思います。

長時間の撮影をする可能性がある方はα7IVからの乗り換えや、FX30の選択肢は十分に考えられると思います。

万能機ではない

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]

映像特化のカメラ、Cinema Lineのカメラなので当たり前ではありますが、全く万能機ではありません。

ここで言う万能機とは、α7IVのように映像も撮れて写真も撮れて…のような万能機です。

FX30でも写真は撮影できます。

ですが、電子シャッターのみなのでローリングシャッターによる歪みが発生します。

そのため写真撮影には向いていません。

当たり前のことですが、意外と写真を撮影したくなる場面もあるのが個人的な現状です。

(また2022/11/05時点ではLightroom等にFX30のRAWデータが対応していません。そのためLightroom等ではRAW現像できません。)

その点α7IVは写真をしっかりと撮影することができる上に、最新のピクチャープロファイルなどを適用しながら映像も撮影できるので万能機と言えそうです。

=普段使いには向かない

前述の通り、万能機ではないとなったとき普段使いには向いていないと言えそうです。

α7IVは人によるとは思いますが、普段使いにとても向いている印象を受けていました。

そもそもCinema Lineを普段使いするのかと言われればまた話は別ですが、少なくとも普段使いには向いていないでしょう。

SONY α7IVからFX30に乗り換えしてどう?[SONY FX30レビュー]

筆者はFX30を購入してからも、α7IIIを多用しています。

本当に映像しか撮影しない方や一部のYouTuberのような方以外は、普段使いするカメラにはならないでしょう。

まとめ

今回はSONY α7IVからFX30に乗り換えて感じたレビューをまとめてきました。

ここまでのレビューだけでは一見α7IVの方がよく思えるかもしれません。

もちろんα7IVはとても使いやすく、万能機であることは間違いありません。

ですが、万能機だからこそ1つのことに取り組もうとすると、少し使い勝手が悪いことはよくあることです。

使い勝手が悪いとは言い方が悪いですが、「映像を撮る」という点においてはFX30が圧倒的に優れていることは確かです。

それは使ってみないとわからないことなのかもしれません。

FX30についての詳しいレビュー・FX30のデザインレビューも是非ご覧ください。

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Yusei

Yusei

運営・ライター

京都生まれ大阪育ち、京都市在住。幼い頃にNikonのコンパクトデジタルカメラに触れ、写真を撮り始める。小学生の頃にNikonの一眼レフを購入し、写真撮影を始める。高校入学と共にカメラを本格的に使い始め、映像制作も行う。写真撮影はスナップからポートレート、記録・風景・鉄道など様々。

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