Cinema Lineをここに。
ついにFX30が手元にやってきました。
今回は手元に届いた時点でのファーストインプレッションをまとめてきます。
プロ目線ではなく、一般人目線で語っていきます。
FX30は「映像世界を、切り拓く。」というキャッチコピーなので、これから映像を始める人にとっても参考になれば幸いです。

最終更新 2023/01/19(一部更新)
FX30・Cinema Lineとは
FX30とはCinema Line初のAPS-Cセンサー搭載カメラです。
フルサイズセンサーを搭載した上位機種のFX3とボディーはほぼ共通のようです。
FX30は希望小売価格273,900円(税込)で購入することができます。
FX3は約50万円ほどするカメラなので、FX30はその半額程度でFX3のボディー・インターフェースを使用することができるということになります。


【FX30の概要】 ・APS-Cサイズ(Super35mm)Exmor R COMSイメージセンサー搭載。 4K高画質収録、最先端のAF性能、長時間撮影を可能にする冷却ファンなど本格的な映像制作を高いコストパフォーマンスで実現。 ・新開発センサー搭載のSuper 35mmフォーマットCinema Line カメラ。 映像世界を、切り拓く。 クリエイターの情熱に、確かな力を。 [引用 SONY HP]
そもそもCinema Lineとは業務用のプロフェッショナル向けカメラシリーズです。
ここに30万円を切るラインナップとして登場したFX30はハイアマチュアからプロのサブ機としての役割を担いそうです。

【Cinema Lineとは】 私たちは何十年にもわたり、映像クリエイターが創造する 新たなアイデアと感動をカタチにするための さまざまなプロダクツやサポートを提供し、 映像制作に携わる多くの方々に寄り添ってきました。 世界の映像制作の現場で培われた技術と、 デジタルイメージングの最先端技術が融合し、 映像クリエイターの感情に呼応し、 創造力と情熱を解き放つ。 [引用 SONY HP]
メリット
筐体・インターフェースがCinema Line
メリット1は筐体・インターフェースがCinema Lineということです。
もちろんCinema Lineとして発売されたカメラなので当たり前ではありますが、ここが一番のメリットと言えるでしょう。

持ってみるとわかります。
少し一般向けカメラと違う風格を感じますし、剛性がとても良く感じられます。
またファインダーのないデザイン・筐体はとてもカッコ良く、一眼レフ・一眼ミラーレス機を使ってきた人間からすると新鮮に感じます。
ボタン配置へのこだわりや、電源スイッチを誤操作しないための配慮、RECボタンの数やタリーランプの点灯など様々な点でCinema Lineを感じることができます。

S-Cinetoneを使用できる
S-Cinetoneとはカメラに内蔵されたピクチャープロファイルプリセットです。
簡単に言えば色の綺麗なプリセットと言えるでしょう。
SONY α7IIIには搭載されていませんがα7IVやα7sIII・FX3などには搭載されています。
このS-Cinetoneが気軽に映像制作する上でとても使いやすく、カラーグレーディングを最低限に抑えることができるくらい綺麗です。
もちろんS-Log3などのLog撮影にも対応しています。
【S-Cinetoneとは】 FX30は、FX6およびFX3で好評な、肌の色を美しく見せるスキントーンを中心としたルック「S-Cinetone」をピクチャープロファイルのプリセットとして搭載。 CineAltaカメラ VENICEの開発を通じて得られた知見を基に作られ、人の肌の色再現性をアップ。 色あいはよりソフトに、ハイライトの描写は被写体を美しく際立たせる自然なトーンです。 グレーディングすることなくシネマのようなルックを手軽に再現でき、制作者のさらなるクリエイティブな表現要求に応えます。 [引用 SONY HP]
ファン搭載で長時間撮影に対応
FXシリーズには排熱ファンが搭載されています。
そのため長時間撮影しても暑くなりにくく、熱停止も抑えられます。
実際に4K30pで検証したところ1時間の撮影は余裕でした。
SONYによると13時間撮影できたとか。

α7IVではすぐに熱くなってしまい、熱停止することもありましたが、FX30ではそこまで気にしなくてもよさそうです。
個人的な感覚ではα7IIIとは比べものにならないレベルで違います。
「長時間の撮影はすることないよ」という方でも、ジンバルなどを使用する場合には電源を付けっぱなしにすることもありますし、熱くなることもあるので少なくとも恩恵は受けることができると思います。
(ジンバルとの相性や熱問題に関しては今後検証していきます)
APS-Cセンサー搭載
カメラの中心となるセンサーがAPS-Cサイズになると、フルサイズセンサーと比べて、暗所でのノイズや、高感度耐性の低下などが考えられます。

もちろんフルサイズセンサー機種と比べてノイズは目立つことを確認しましたし、高感度耐性も低いことを確認しました。
ISO6400くらいが使用する最大と言っていいと思います。
ですが、このノイズの処理を上手く調節しているのがSONY。
このノイズ、これはこれでいい質感だな…と感じられるノイズに仕上げてきているように感じます。
ザラザラなノイズというよりは質感のノイズといったイメージに感じました。
もちろん人それぞれだとは思いますが。
またAPS-Cセンサーを搭載しているからこそ発熱が少なく、長時間撮影に耐えうるとも考えられます。
▶︎ノイズ感が良い
▶︎発熱が少なく済む
デメリット
APS-Cセンサー搭載
メリットではあるもののデメリットでもあるAPS-Cセンサー。
フルサイズセンサーと比べて焦点距離が1.5倍になります。
20mmのレンズを装着すると30mmになるということです。
そのため、広角に弱くなります。
10mmのレンズで15mmとなるため、そこまで考えなくともよいと思いますが、フルサイズと比べれば少なくとも広角に弱いと言えます。
そしてメリット4でお伝えした通り、フルサイズセンサーと比べてノイズが発生しやすく、ノイズが目立ちやすいです。
そのためノイズが気になる方やノイズが似合わない撮影内容などの場合はデメリットになると思います。
また一般的にAPS-Cセンサーを搭載したカメラは小型軽量化されていることが多く、コンパクトな機材になることが多いです。
ですが、このFX30はFX3と筐体サイズが全くと言って良いほど一緒なので、全く小型化されていません。

重量も数十g程度軽くなった程度で、特に恩恵は受けないと思います。
個人的にはこれ以上軽く、小型になってしまうと逆に安定性が落ちていくような気がするため、このサイズ感がベストだと考えています。
またこのレベルのすでに軽いカメラに、さらなる軽さを求めるのはどうかと…
▶︎焦点距離が1.5倍になる(広角に弱い)
▶︎ノイズが発生しやすい
▶︎小型軽量化されていない
デュアルベースISO
FX30にはデュアルベースISOというものがあります。
これはノイズの少ないISO数値が2つあるということです。
FX30のデュアルベースISOの数値は800と2500となっています。
この数値の時にノイズが少なく撮影できるということです。
ですが上位機種のFX3やα7sIIIは800と12800となっています。
ISO2500とISO12800では大きく異なるためここは大きなデメリットになります。
ですが、2倍程度の価格差のあるカメラと比べるのもおかしい気はします。

まとめ
ここまでFX30のファーストインプレッションをまとめてきました。
正直言ってこのカメラにおける一番重要な点は心が躍るデザインでしょう。

撮っていて楽しい、持っていてテンションが上がる。
そんなCinema Lineのカメラです。
少なくとも映像をこれから始める初心者の方にはあまりオススメできませんが、ステップアップしたい映像クリエイターの方には本当に最高のカメラになると思います。
そしてなによりこの価格でCinema Lineを購入することができる時代になりました。
というわけで Cinema Lineをここに。[SONY FX30 レビュー]
メリット
▶︎価格が安い
▶︎筐体・インターフェースがCinema Line
▶︎S-Cinetoneを使用できる
▶︎ファン搭載で長時間撮影に対応
▶︎APS-Cセンサー搭載
→ノイズ感が良い
→発熱が少なく済む
【その他のメリット】
▶︎ネジ穴が筐体各部に用意されている
▶︎4K120pが撮影できる(クロップあり)
▶︎ディスプレイがとても綺麗(約236万ドット)
デメリット
▶︎APS-Cセンサー搭載
→焦点距離が1.5倍になる(広角に弱い)
→ノイズが発生しやすい
→小型軽量化されていない
▶︎デュアルベースISOの数値
【その他のデメリット】
▶︎4K120pで撮影するとクロップされる
▶︎写真が撮れない(といっても過言ではない)


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