50mm F1.4を持ち運ぶロマン。
今回はSIGMAから発売されている50mmの明るい単焦点レンズ、SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Artをレビューしていきます。
このレンズは日常使いで使えるサイズとF1.4の明るさ、そして何よりロマンの詰まった最高のレンズです。
Lマウントはもちろんのこと、Sony Eマウントモデルもあるので、Sonyユーザーの皆さんにもオススメの一本です!
それでは詳しく見ていきましょう!


SIGMAの50mm。

初めにSIGMAの50mmのレンズについて少し触れておきます。
2024年4月時点でSIGMAの50mmのレンズは、50mm F1.2 Art・F1.4 Art・F2 Contemporaryの3本が販売されています。
F1.2とF1.4はArtラインのレンズとして、F2はContemporaryラインのI seriesとして設計されています。
それぞれのレンズはF値やラインナップ・シリーズが異なるだけでなく、大きさや重さなどあらゆる点で大きな違いがあります。
この記事で取り上げているSIGMA 50mm F1.4 DG DN | Artは、3本の中で真ん中と位置付けられるレンズで、バランスの良いレンズとなっています。
それでは詳しくレビューしていきます!
メリット
美しいボケと明るさ
このレンズを検討している方のほとんどはF1.4のボケ感と明るさを求めているからではないでしょうか。
このレンズは開放F1.4のとにかく明るいF値を持っています。
フルサイズセンサーを搭載したカメラでF1.4を使うとボケすぎて何を撮っているのかわからなくなることがあるほどとにかくボケます。
このボケを生かすことで、背景と分離させたり、とにかく美しいボケのある写真を撮ることができます。
ボケはうるさくなく、荒ぶることもほとんどありません。
さすが現代のレンズであり、SIGMAの技術力だなと感じます。

そしてF1.4の明るさはズームレンズではもちろんのこと、単焦点レンズでもこの開放F値を有するレンズにしか出すことができない明るさです。
このレンズを持って夜のスナップに出かけると、今まででは撮ることのできなかった写真を撮ることができると思います。
実際に夜の公園で、街灯の灯りだけでここまで明るく撮影することができました。

高い描写力

レンズは絞りを開放すればするほど描写力が落ち、ある程度絞ることで最高描写を得ることができます。
このレンズはF1.4もありますが、ピント面はパキッとしたシャープな写真を撮ることができます。
もちろん開放で撮影すると多少は解像感が落ちるものの十分な描写力があり、解像感に不満を感じることは少なくともないと思います。
周辺の描写も問題はなく、厳密に見れば多少描写力が落ちているものの、特に気になる程ではありません。

そして絞ることで中心から周辺までSIGMAらしいシャープすぎるほどシャープな写りを見せてくれます。
この記事ではこれ以上性能的な描写力について詳しく深ぼらずに、「空気感」についてお伝えします。
SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Artで撮った写真はどこか奥ゆかしさや空気感を感じます。
それはボケ感から生まれるものなのか、それとも滑らからコントラストや色から生まれるものなのか言語化することはできませんが、どこか「良いな」と感じられる写真を撮ることができます。

言語化は難しいですが、コントラストは比較的高いものの、黒つぶれが起きるようなコントラストの強さではなく、滑らかなグラデーションを描いているからこそ奥ゆかしさや空気感を感じるのではないかと思います。

もっと言うなら、人の目には平面的に見える状態でも、F値開放で撮ることで立体感(ボケ)が生まれ、その立体感の感じる空間に空気があるように感じる…といったイメージでしょうか。
そしてピント面は高い描写力でシャープに、そしてそこから滑らかにボケていく状態にコントラストを感じ、空気感に繋がっているのではないかと思いました。
…レンズのレビューとは難しいものです。
軽量・コンパクト

50mmの単焦点は日常的に使用することが多いレンズの一本だと思います。
SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Artは開放F1.4を持っていながら、重さは約670gとなっています。
670gをどのように捉えるかは人それぞれだと思いますが、筆者は持ち運ぶレンズとしては600g台が最大の重さだと考えています。
700g台のレンズになると持っていくときに少し躊躇してしまいますが、600g台であればペットボトル一本分程度の重さなので比較的気軽に持ち出すことができます。
なによりSIGMA 50mm F1.4 DG DN | Artの初代である50mm F1.4 DG HSM | Artは重さが約905gもあり、F1.4を600g台で持ち運べるのはとても凄いことです。
そしてサイズも比較的コンパクトで、レンズ径は72mmです。
最近主流の67mmには収まっていませんが、72mmであれば「少し大きいかな」といった程度で済むと思います。
高いビルドクオリティとデザイン

SIGMAのレンズはどれもビルドクオリティが高く、所有欲を満たしてくれます。
SIGMAの「選ばれる道具であるために」という考えがこのビルドクオリティの高さにも表れているように感じます。
クリック感のよい絞りリング、程よくトルク感のあるフォーカスリング、硬さのあるフォーカスモード切り替えスイッチなど、操作性もよく質感も高いSIGMAのレンズは持つだけで良いプロダクトだと感じます。
I seriesのようにクラシカルなデザインも良いですが、Artレンズのようなシンプルなデザインもとてもカッコ良く、新しいカメラとの相性も最高です。


◀︎ I series Artライン ▶︎
操作性の良いスイッチ類

レンズ側面にはスイッチやボタンが配置されており、とても充実しています。
AF/MF切り替えスイッチやAELボタン・絞りリングのクリック/デクリック切り替えスイッチ・絞りリングロックスイッチを兼ね備えており、十分すぎる充実度です。
絞りリングロックスイッチを使うことで、絞りリングをAの位置で固定したり、逆にAに入らないように固定することができます。
いずれのスイッチやボタンもビルドクオリティでお伝えしたとおりとても操作性の良いものが採用されています。
その他

その他にも多くのメリットがあり、防塵防滴構造を採用していることでどんなシーンや環境でも安心して撮影することができます。
またスーパーマルチレイヤーコートと呼ばれるコーティングがされており、レンズフードをつけなくてもフレアが出にくくなっています。
少しでもコンパクトに持ち運びたい筆者にとって、レンズフードは装着しないことが多いのでとても嬉しい性能です。
デメリット
軽量・コンパクトとはいえ重く大きい
メリットで軽量・コンパクトとお伝えしましたが、日常的に使用するレンズとして考えるとこれでもまだ重く大きいと感じます。
もちろんF1.4の性能を持つこのレンズをどこまで日常使いするかは人それぞれだと思いますが、もっと軽量・コンパクトに日常使いしたい方はF2に抑えられたContemporaryのレンズの方が良いと感じます。
約670gの重さは苦しいほどではないものの、ずっと持っていると疲れてくる重さでもあります。

もちろん大きく持ちやすいグリップのあるSonyのαシリーズであればそこまで気にならないかもしれませんが、筆者の使っているSIGMA fp Lではギリギリといった印象です。
ここぞという時に使うためにカバンに忍ばせておくことはできる重さ(毎日カバンに入れていても良いと感じる重さ)だと感じますが、ずっとカメラにこのレンズをつけておくのは少ししんどいのではないかといった印象です。
ピントがシビア・合わない
このレンズはピントが合いにくいと感じる瞬間があります。
もちろんF1.4もの開放で撮影するとピント面はシビアで、少しのズレでももうピントが完全に合っていない写真になってしまうため、レンズの問題ではなくF値から生まれる特性ではあります。
ですがこのレンズをAF性能のあまり高くないカメラに装着すると本当にピントが合いません。

筆者はSIGMA fp Lに装着して使用していますが、高確率でピントが合っていません。
「人物を撮影しても背景の壁にピントが合っている」「どこにもピントが合っていない」ことは当たり前のレベルです。
お持ちのカメラのAF性能によってレンズの使いやすさが大きく変わってしまいそうです。
補足しておくと、SIGMAのArtラインとして初めてリニアモーター HLA(High-response Linear Actuator)を採用しているということで、レンズのフォーカススピード自体は速いのではないかと想像しています。
絞りリングが動く

縦・横の写真を撮影する際にカメラを回転させることになりますが、カメラを回転させた時に手が絞りリングに当たってしまい、F値がいつの間にか変わってしまっていることが何度かありました。
これは絞りリングのクリック感が軽いからではなく、レンズの径が大きいため手が当たりやすく、回ってしまうのでは?と考えています。
何より絞りリングがマウント側にありリングの幅が太いため、筆者の持ち方だと手がちょうど干渉してしまっているのだと思います。
筆者は今のところ絞りリングをAに入れた状態でロックして、カメラ側からF値を変えています。
せっかくの絞りリングが活かせていないのが少し心残りです。
周辺減光がある

周辺減光はしっかりとあるという印象です。
写真の四隅がしっかりと減光しているので、周辺減光が好きな筆者にとってはとても良い味ですが、レンズの性能としては発生しない方が好ましいと言われるので少しデメリットかなと思います。
ですが現像時に調整することで補正できるレベルなので、使用していて問題になる程ではないと思います。
F2くらいまで絞ると周辺減光は少なくなり、とてもスッキリとした画に仕上がります。
まとめ


今回はSIGMA 50mm F1.4 DG DN | Artをレビューしました。
F1.4の明るい単焦点、50mmという標準画角、描写もよく、スペックにしては比較的軽量・コンパクトに収まっているこのレンズは、持っておきたいスタンダードなレンズの1本だと感じました。
日常使いでこのレンズを持ち出すには少し勇気が必要かもしれませんが、不可能ではありませんし、何よりF1.4の文句のないレンズで撮影できることを思えばその勇気も湧いてきます。
味と捉えることもでき補正もできる周辺減光、カメラによって左右されるAFなど少しのデメリットもありますが、撮影した写真を見る本当に良いレンズだと実感できますし、いつの間にかそのデメリットも感じなくなっているように思います。
50mmという標準画角だからこそ本当に良いレンズを、そして差別化をはかってみてはいかがでしょうか!
ここまでお読みいただきありがとうございました!
使用機材
カメラ|SIGMA fp L
レンズ|SIGMA 50mm F1.4 DG DN | Art

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